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連続サミーリレー小説 第1回 けいんさん作
砂沙美は燃えていた。いや、別に火ダルマだとか言う訳ではなくて。
机の上に広げた、お子様にとっての脅威「夏休みの宿題」を終わらせる為に魂を燃やしているのだ。
「3×3が9だから・・・9と14を足して25ね・・・よし、これで算数終わり!」
違ってるぞ砂沙美。
「他にもまだあるんでしょ砂沙美ちゃん」
その後ろでは、ニンジン2本で雇われた魎皇鬼
が絵日記の挿し絵を執筆中だった。
非常に前衛的なタッチがイカしていた。本人にはそのつもりは無かったが。まあ肉球だし。
「あと国語と社会も残ってるし、読書感想文も・・・」魎皇鬼が言う。
「ううっ、これじゃ今日中に終わらないよお・・・」砂沙美が頭を抱える。
「どうするの砂沙美ちゃん。宿題終わらせないと明日・・・・」
「分かってるよお。分かってるけど・・・己の能力の限界だけはどうしようも無いよね・・・」砂沙美は自分を冷静に分析してみた。
「砂沙美ちゃん・・・大体ちゃんと計画通りに宿題やらないからこうなるんだよ。毎日マンガばっかり読んでるから」
「ううっ、それを言わないでぇ・・・砂沙美がおバカでした」
「どうする気なの?このままじゃ・・・」
「うん・・・折角鷲羽ちゃんがみんなを『いいところ』に連れて行ってくれるって言うのに・・」砂沙美の表情が曇る。
「ところでどこなの?『いいところ』って」魎皇鬼が色鉛筆を走らせながら訊ねる。
「う〜んそれが分からないの。『行ってからのお楽しみ』なんだって。水着を持ってくる様に言われてるから海なんじゃないかな」
「あの人の『いいところ』ってのは何か不安だな・・・また何か企らんでるんじゃない?」魎皇鬼が言う。
「そう言われると・・・そんな気がするね」砂沙美のイヤな予感レーダーが迫る敵影を捕捉しまくった。
「今頃気付くなよ・・・まあとにかく宿題を終わらせないとね。無理っぽいけど」わりと非情な魎皇鬼だった。
「ああっ!こんな事してる場合じゃ無かったよぉ!」と、砂沙美が次の問題集を手にとった時。
「砂沙美ちゃ〜ん、美紗緒ちゃんが来てるわよお」階下からほのかママの声が届いた。
「え?美紗緒ちゃんが?・・・・ハーイ、すぐ行くよぉママ!・・・・あれ?今日は遊ぶ約束してなかったと思うけど・・」
「砂沙美ちゃん、分かってるよね?」魎皇鬼が釘を刺す。
「ハ〜イ分かってます。今日は宿題やらなくちゃいけないからね・・・」言いながらドアを開ける砂沙美。
「えっ!?宿題を・・・・手伝ってくれるの美紗緒ちゃん?」砂沙美の目がキラキラと輝いた。
玄関で向かい合う砂沙美と美紗緒。
「うん・・・・きっと砂沙美ちゃんまだ終わってないと思って・・・」美紗緒が少し済まなそうに言う。
「アハハ・・・その通りだよ、このままじゃ今日中に終わらない所なの・・・でも本当にいいの美紗緒ちゃん?」
「うん・・・あたしはもう宿題終わってるし、それに・・・」美紗緒が少し恥ずかしそうに俯く。
「それに?」砂沙美はちょこんと首を傾けて美紗緒の顔を見た。
「明日の遠足・・・砂沙美ちゃんと一緒に行きたいから・・・」美紗緒が顔を赤らめ上目遣いで砂沙美を見る。
「美紗緒ちゃん・・・・・ありがとう!砂沙美嬉しいよぉ!」砂沙美は美紗緒の手を取り何度も跳ねた。
「さ、砂沙美ちゃん・・・・・でも分からない所を教えてあげるだけだから・・・本当は自分でやらなくちゃいけない事だし」
「ウン!それでも大助かりだよ!それじゃあ早速やろう!」
そんな二人を階段の上から見つめながら魎皇鬼は。
「ハァ・・・ボクは情けないよ砂沙美ちゃん・・・」呆れていた。
まあとにかく美紗緒の助力を得たおかげで宿題はなんとか終わるのだった。
二人は晴れて遠足へ行く事が出来るのだ。
もしかしたら終わらない方が良かったのかもしれないが、この時の二人には思い及ぶ筈もなく、
明日の遠足に持っていくお菓子を何にするかという事の方が重要だった。
果たして二人が行く先で何が起こるのか?鷲羽の企みとは何か?
夏も終わりが近づいていた。
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