ネオアトランティス基地。巨大な格納庫内にて話し込むガーゴイルと技術者。
「そうか・・・ではほぼ完成と言う訳だな?」とガーゴイル。
「ええ。まだ調整が必要な部分もありますが。現在テストを繰り返している所です」
「ふふ。アダムを模した人型発掘兵器か。ネモの驚く様が見える様だな」
「ただ・・・現在の我々の技術ではメカニズムの解析までには至らず・・・」
「量産は無理と言う訳か」
「残念ながら」
「まあ良い。これだけの兵器、一体あれば充分だ。ネモの命運もこれまでと言う訳だな」
「おっしゃる通りです」
巨大な倉庫内に横たわるものを見上げる二人。人の形をしている。
余りにも巨大過ぎる。各所を装甲板で覆われ、頭部にはツノの様なものが。
「・・・・む?」ガーゴイルの目に、人型兵器の上で動くものが映る。
「えへへ!どーお似てるでしょ?ジャンだよお。ねーキングう。次は何描こうかあ?ナディアがいいかなあ」
自分の体ぐらいの筆を持って人型兵器の上を走り回るマリーとキング。
頭を押さえしゃがみ込むガーゴイル。
「ガ、ガーゴイル様、大丈夫ですか!?」
「・・・・・・またあいつか・・・」大きくため息をつくガーゴイル。
「何でもない・・・ちょっと待っていろ」人型兵器によじ登り始めるガーゴイル。
「きゃはははは」「ワオン!」
「あー、マリー君?」
「あ、おじちゃーん!見て見てえ!おじちゃんの顔だよお!上手いでしょー!」
人型兵器の装甲板にはヘッタクソな絵でガーゴイルの仮面が描かれていた。
「・・・・・・・・・」拳をプルプルと震わせるガーゴイル。
「あ・・・ああ。とても上手だとも・・・・ところでマリー君。
済まないがここは落書きするところではないのだ。落書きならば向こうでやってくれないかな?」
「ええ?そうなのお?・・うん、分かった。行こうキング!きゃはははは!」「ワオン!」
「フウ・・・・全く・・・・」
「ガ、ガーゴイル様、アレを・・・・・」技術者の指さす方向を見るガーゴイル。
「きゃはははは!ほーら可愛いでしょキング?」「ワオワオン!」
人型兵器のアイカメラににラブリィな目を描き入れるマリー。
「・・・・・・・・」肩をワナワナと震わせるガーゴイル。
「マ、マリー君。そこも落書きしてはダメなのだ・・・・」
「ええーケチィ」「ワオオン」
「じゃあヒゲを描くのならいいよね?」
「イカンと言っとるだろうがああああ!!」思わず叫ぶガーゴイル。
「・・・・・うっ・・・ううっ・・・」
「ハッ!?」マリーの泣きそうな顔で我に帰る。
『し、しまった。私ともあろう者がつい取り乱して・・・・ハッ!?
ぶ、部下も見ている・・・マズイ!何とか取り繕わねば・・・!』
「な、なあんて冗談だよマリー君。落書き結構。どんどんやってくれ給え・・・ハハハ」
「ガ、ガーゴイル様!?」
「本当!?おじちゃん!」喜ぶマリー。
「あ、ああ本当だとも・・・」
『しまったあ!思わずその場の勢いで適当な事を!』モノローグで焦るガーゴイル。
「良かったねキングう!何描こうか!?」「ワオオン!」喜ぶマリーとキング。
「マ、マリー君!お腹は空いていないかね!?」何故か必死なガーゴイル。
「え?う〜んそう言えば少し・・・」「ワオン」「キングも空いてるって・・・」
「そうか、空いているか!君、マリー君達にお菓子を用意してあげなさい!」
嬉しそうなガーゴイル。技術者に向かって叫ぶ。
「ハ、ハハッ!」
技術者が二人を連れて行くのを見送るガーゴイル。
「・・・・・・ハア・・・・」ガックリと肩を落としため息をつくガーゴイル。
人型兵器はアートな感じに仕上がっていた・・・・。
「ズズズ・・・・」
ガーゴイル自室。仮面をつけたまま器用にコーヒーを飲むガーゴイル。
『全く・・・・今日はツイていない様だな・・・会議は短めに終わらせて
早く寝るとするか・・・・』そんな事を考えていた時。
「ドンドン!」ドアを激しくノックする音が響いた。
「騒々しいぞ、何事だ?」コーヒーをあおる。
「大変です!例の子供が人型兵器を!」
「ブハッ!・・・ゴホッ!ゲホッ!熱っ!!な、中に!」何やらえらい事になっている様だ。
「ガーゴイル様!?大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫だ。それよりどうなっているのだ!?」
「はっ!例の子供が人型兵器を動かして暴れています!基地中大混乱です!」
頭を抱えるガーゴイル。
「今すぐ行く!スタッフを発令所に集めるのだ!」
「ハッ!」
(後編に続いたりなんかしちゃったりする)
謎の人より
思わず長くなっちゃったので分けました。